今月のフィーチャーバイク

KATANA

時代を超えて輝きを放つ名刀

2015年にバイク王 バイクライフ研究所が行った「現役ライダーが乗ってみたい旧車・絶版車」アンケートで堂々1位を獲得したモデルがGSX1100Sカタナだ。――初登場から実に30年以上経過しながら、その魅力が今なお色褪せていないことを証明している。
デビューイヤーは、1981年。その名の通り、車体は日本刀や武士道をイメージしており、当時、大きな衝撃的を与えた。デザインを担当したのは、BMWから独立したデザイナー、ハンス・ムートらが所属するドイツのターゲットデザイン社。しかも驚くべきことに、外装はデザインだけでなく、空力性能をも追求。当時世界最強クラスとなる111psのハイパワーと相まって、世界最速マシンとして君臨した。

1984年に一度生産終了となったが、熱い要望に応え、たびたび復刻。2000年まで販売されるロングセラーとなった。最終版となるファイナルエディション=SYは、1100台のみの限定生産で、瞬く間に完売。フレーム補強のほか、チューブレスタイヤなどを採用しており、カタナの弱点を解消した決定版となる。

あまりの人気につき、750、400、250と様々なラインナップも登場。排気量に合わせて、1100の独特なスタイルを上手く再現している。いずれも生産終了したが、現在もライダーを魅了し続けているシリーズだ。

型式、年式ごとの特長

  • GSX1100Sカタナ

    ’81年から20年の長きにわたって販売。GSX1100Eベースの空冷直4DOHC4バルブを、鉄製ダブルクレードル+アルミスイングアームの車体に搭載する。ライポジは、クリップオンハンドルにより深く前傾し、レーサーレプリカ然としたもの。これに対し、走りの性格は意外にも扱いやすい。太いサウンドを伴いながら、1万rpm程度までフラットに吹け上がり、旋回性もニュートラルで安定感がある。当初は輸出仕様のみだったが、1994年から95psの国内仕様も追加された。

  • GSX750Sカタナ

    1100の発売当時、国内には「2輪は最大750cc」という自主規制があったため、1982年、日本向けに750版が登場。車体は1100に準じるが、当時セパレートハンドルは法律的に認可されず、アップハンドルに変更。スクリーンもオプション扱いだった。さらに1984年、当時流行していたリトラクタブルヘッドライトを採用したIII型が登場。デザインはスズキ社内で行い、ロードスポーツ初の格納式ライトや、ゴールドのフレームを導入するなど、またも斬新な1台だったが、賛否両論を巻き起こした。

  • GSX400Sカタナ

    1992年、普通二輪免許で乗れるカタナとして、250に続いてデビュー。カウルやメーターなど1100のデザインをバランスよく400に落とし込み、初代1100と同様の星形キャストホイールも再現している。エンジンは1100の空冷と異なり、レーサーレプリカGSX-R400の水冷直4がベース。ただし、カタナらしくシリンダーには空冷フィンが刻まれる。走りは、優れた低速トルクとスポーティに吹け上がるエンジン特性が特徴で、カタログには「ハーフスロットルの優越」とのコピーも踊る。1999年に生産終了するまで、セールスも好調だった。
    また、テレビアニメ『ばくおん!!』では、メインキャラクター 鈴乃木凜の愛車として登場する。彼女は生粋のスズキ愛好者で、GS1200SSやGSX400Xなど独特なデザインの車種でも“そこがカッコいい”らしい。彼女が乗っている400カタナは彼女の父から譲り受けたもので、その後父親は、世界に5台しかない「ヨシムラ・カタナ1135R」を所有する。

 

  • GSX250Sカタナ

    400に先立つ、1991年に登場。車格は他のカタナと比べてコンパクトなものの、まさにカタナのスタイルだ。エンジンは、バンディット250譲りの水冷直4で40psを発生。400と同様、水冷ながら空冷風のフィンを持ち、雰囲気は十分だ。マフラーはシリーズ唯一の4in1タイプを採用する。元々エンジンは高回転型だったが、ベース車より低中速重視の特性に変更され、扱いやすい。大きくモデルチェンジされることなく販売され続け、1998年で生産終了となった。

主要諸元

数値は1100国内仕様

全長(mm) 2,250
全幅(mm) 740
全高(mm) 1,195
シート高(mm) 775
軸距(mm)
乾燥重量(kg) 232
エンジン 空冷4スト並列4気筒
 排気量(cc) 1,074
 最高出力 95ps/8,500rpm
 最大トルク  8.6kg-m/4,000rpm
 タイヤ  F=3.50-19V R=4.50-17V

※1994~2000モデル

■筆者プロフィール

沼尾 宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。