フィーチャーバイク – GSX-R1000 –
虚飾を廃し、ストイックに速さを追求
圧倒的なスペックで常に衝撃を与えてきたスーパースポーツ。それがGSX-R1000だ。最初の衝撃は、「Own The Racetrack(サーキットの覇者)」をコンセプトに掲げ、2001年に登場した初代。当時、ホンダ・CBR929RRとヤマハ・YZF-R1の2台がしのぎを削っており、前年にモデルチェンジしたRRが最高出力152ps、乾燥重量170kgで話題になった。ところが、R1000は驚異の160ps&170kgをマーク。当然実力も圧倒的で、一躍ヒットモデルとなった。
以降2009年型まで2年ごとにフルチェンジを繰り返し、スペックで上回ってきたライバルをさらに凌駕。クラス最強の座を堅持していく。2007年型では185psを達成し、2009年型では初代以来ベースとしてきたGSX-R750から脱却。車体もエンジンも完全新作となった。
以降は熟成で代を重ね、ライバルの台頭を許すが、2017年型でまたも衝撃が走った。モトGPマシン=GSX-RRの技術を還元した完全新設計となり、直4スーパースポーツ勢トップの202ps(フルパワー仕様)をマーク。さらに電脳デバイスを一挙に投入してきた。
走りは、歴代とも総じてロングストローク気味のエンジンを採用し、全域がトルクフル。ハンドリングも安定志向のため、ライバルより扱いやすく、速さを引き出しやすいのが特徴だ。特にストック状態の速さは随一。価格も抑えめで世界中のプライベーターから愛されている。派手さやギミックより、常にひたすら堅実な速さを追求してきたR1000。いかにもスズキらしい、職人気質の1台である。
型式、年式ごとの特長
2001~2002年モデル(K1、K2)

全長(mm) | 2,045 |
シート高(mm) | 830 |
軸距(mm) | 1,410 |
車重(kg) | 170(乾燥) |
エンジン | 水冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 998 |
最高出力 | 160ps/8,000rpm |
最大トルク | 11.2kg-m/8,500rpm |
※2001~2002年モデル
2005~2006年モデル(K5、K6)

2007年型では環境規制に対応するためマフラーが2本出しとなり、車重は172kgに増加。一方で馬力は185psまでアップし、後に流行となるモードセレクターをいち早く採用した。
全長(mm) | 2,030 |
シート高(mm) | 810 |
軸距(mm) | 1,405 |
車重(kg) | 166(乾燥) |
エンジン | 水冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 999 |
最高出力 | 178ps/11,000rpm |
最大トルク | 12.0kg-m/9,000rpm |
※2005~2006年モデル
2009~2011年式(K9、L0、L1)

2012年型では、モノブロックのブレンボキャリパーと右1本出しのマフラーを新採用し、2kgの軽量化を実現。さらにピストンの11%軽量化などで中速域の加速性能も向上した。
全長(mm) | 2,045 |
シート高(mm) | 810 |
軸距(mm) | 1,405 |
車重(kg) | 205(装備) |
エンジン | 水冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 999 |
最高出力 | 185ps/11,500rpm |
最大トルク | 11.9kg-m/10,000rpm |
※2009~2011年モデル
2017年式(L7)
久々のフルチェンジを敢行した6代目は、再び頂点に立つため、「走る、曲がる、止まる」を徹底追求した。新作のエンジンは、電子制御スロットルをはじめ、6軸IMU(姿勢センサー)、10段階式のトラクションコントロール、可変バルブシステムのSR-VVTほか先進システムを満載。ボア×ストロークは76.0×55.1 mmとショートストローク化が進んだが、ライバルより依然としてストロークは長めだ。新設計フレームは、上部幅を最大20mm狭め、10%の軽量化を実現した。さらに上級仕様のGSXR-1000Rを投入。ショーワ製BFFなど最新の足まわりや先進のABS、クイックシフターなどを与え、初の国内仕様も登場した。フルパワー欧州仕様の202psに対し、日本仕様は197psを発生する。
全長(mm) | 2,075 |
シート高(mm) | 825 |
軸距(mm) | 1,402 |
車重(kg) | 203(装備) |
エンジン | 空冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 999 |
最高出力 | 197ps/13200rpm |
最大トルク | 11.9kg-m/10800rpm |
※2017年モデル GSX-R1000R国内仕様
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■筆者プロフィール

沼尾宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。