今月のフィーチャーバイク

最もイージーながら
伝統を色濃く継承する

「ハーレー」と言えば大柄なイメージがあるが、スポーツスターファミリーは、コンパクトで親しみやすい車格と手軽さが魅力だ。特に「パパサン」と呼ばれる883ccモデルは一段と軽量。出力特性も扱いやすく、ビギナーや街乗りに最適だ。
このスポーツスター883の中でも、最もベーシックかつ人気が高いモデルがXL883N アイアンだ。ロング&ローの車体に、各部をブラックアウトした流行の「ダークカスタム」をいち早く採り入れ、フロント19インチ&リヤ16インチ、容量12.5Lの燃料タンクを採用。まさにスポーツスターらしいスタイルを継承している。
デビューは2009年。当時アイアンはファクトリーカスタムの位置付けだったが、2010年にスタンダード仕様のXL883が生産終了。他の標準的な仕様も続々ラインナップ落ちとなり、2017年現在、アイアンこそ最もスポーツスター本来のフォルムを有する存在となっている。

走りは、鼓動感とメカノイズが味わい深く、右手の動きに合わせて必要十分なパワーを取り出せる。出力特性が穏やかなことに加え、低重心設計のため、コーナリングでも安心感は抜群だ。ただし、やや深くバンクさせるとステップをすぐ擦るので無理は禁物。また、車高の低いローダウン仕様のため、足着き性は実に優秀だ。
何より最大の魅力は、その世界観。低い視界と大らかなライポジで鼓動感に包まれながらクルージングするだけで楽しい。コンパクトながらハーレーの魅力が存分に詰まっているのだ。高速道路をこなす実力もあるが、ストリートを流すだけで愉快になる。アイアンはそんな1台だ。

型式、年式ごとの特長

2009~2018

ミッションを一体式とした独自のエボリューションエンジンを搭載し、手頃な車格とスポーティさを実現するスポーツスター。排気量は1202ccと883ccをラインナップする。このエンジンは1986年に誕生しており、時代とともに改良され、現在に至る。初代XL883Nは、2009年冬にXL883のローダウン&ダークカスタム仕様として登場。外観ではブラックパウダーコーティングを施したエンジンのほか、ローダウンサス、フォークブーツとキャストホイールが特徴となる。2016年モデルでフォーティーエイトと共通のアジャスタブル機能付きリヤショックを採用。φ39mmフォークの内部スプリングを変更し、1970年代風のホイールやタックロールシートなどを与えた。

全長(mm) 2,185
全幅(mm)
全高(mm)
シート高(mm) 760
軸距(mm) 1,515
車重(kg) 256(装備)
エンジン 空冷4ストV型2気筒
排気量(cc) 883
最高出力
最大トルク 6.5kg-/4750rpm
タイヤ タイヤF=100/90B19  R=150/80B16

※2018モデル

■筆者プロフィール

沼尾 宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。