今月のフィーチャーバイク

現代によみがえった幻のヨーロピアン・スクーター

ファッションに敏感な人やイタリア車好きにとって、特別な思いを抱かせるブランド――それがランブレッタではないだろうか。長らく生産が途絶えていたが、2018年に晴れて復活。日本でも目にする機会が増えている。
まずは、その歴史を紐解いていこう。ランブレッタが誕生したのは1947年。鋼管メーカーのイノチェンティ社が設立したブランドで、工場があったミラノのランブラーテという地名が名前の由来となる。当初はフレームむき出しのストリップ型スクーターを販売していたが、後にカバーを施した流麗かつ高性能なモデルをリリースし、大ヒット。イタリアのスクーターブランドとしてはベスパの方が先だが、1950年代になると人気が高まり、イタリア国内ではランブレッタの方が人気だったと言われるほど。さらに1950年代後半~60年代にイギリスで流行したモッズカルチャーの象徴にもなった。
以降も1979年公開の映画『さらば青春の光』で主人公がランブレッタに乗るなど、長年ファッションに敏感な若者に支持されたが、イタリア国内における4輪車の需要増や労働争議によって、1971年に工場をが閉鎖。インドのSIL社がライセンスを買い取り、1990年代まで生産を続けたが、以降は入手困難となっていた。
しかし2017年、本家のイノチェンティ社とオーストリアのKSRグループが共同で新たにランブレッタブランドを再興。2018年から量産を開始し、国内にも入荷されている。
新生ランブレッタの旗艦となるのがV200 Specialだ。1958年から製造されたLIシリーズや、TVシリーズを彷彿とさせるリヤが長いフォルムは、まさにランブレッタそのもの。灯火類は全てLEDとし、各部に現代的なデザインを融合することで実にモダン&高級感溢れる仕上がりとなっている。車体は伝統のスチールモノコック形式を踏襲。質感と剛性感が高く、車重が重くならないよう鋼板の配置とデザインを最適化している。共通ボディで125cc版と50cc版が用意されるのもうれしい。

走りはモノコックボディの剛性感が際立ち、しっかり安定。この排気量帯では不安定になりちがな高速巡航時でもスタビリティ抜群だ。168.9ccの空冷単気筒は、不満なく速度を乗せ、80km/h程度まで余裕で伸び上がる。加えて、剛性の高いボディとやや硬めのサス設定によりスポーティなコーナリングまで可能。フロントブレーキを強めにかけても踏ん張り、街中での切り返しやちょっとしたタイトコーナーも楽しい。
かつてランブレッタがベスパと人気を二分したのも、走りのよさが理由の一つ。現代版は洒落たスタイルだけでなく、走りという本質まで受け継いでいる。まさに伝統を継承したモデルだ。

型式、年式ごとの特長

V200 Special

レトロながら現代さも感じさせる秀逸なデザインは、KTMやハスクバーナでも有名なオーストリアのキスカデザインが担当。各排気量に固定フェンダーと可動フェンダーの2タイプがある。ヘッドライトは丸型のイメージが強いが、往年のDLシリーズなどに角眼が存在しており、これをオマージュしている。
液晶メーターやUSBソケットは全車標準。シート下にヘルメットが収納できるトランクを確保し、ラゲッジフックやグローブボックスなど実用性も十分だ。
168.9ccのV200は、高速道路を走行可能。12.1psを発生し、坂道やタンデムでも余力がある。唯一200のみABSを備える。
ちなみにランブレッタのスペルはLambretta。福岡にあるフットサルチームは、「Runbretta」となり、無関係だ。
全長(mm) 1,890
全幅(mm) 735
全高(mm) 1,115
シート高(mm) 770
軸距(mm) 1,340
車重(kg) ――
エンジン 空冷4スト単気筒
排気量(cc) 168.9
最高出力 12.1ps/7500rpm
最大トルク 1.27kg-m/5500rpm
燃料タンク容量(L) 6 ±0.2
タイヤ (前)110/70-12 (後)120/70-12

V125 Special

中間モデルの125は、税制面でお得な上に、原付1種のような30km速度制限がない。リヤショックは200が両持ちなのに対し、片持ち式。前後ブレーキは200と同様で、フロントにφ220mm、リヤにφ110mmディスクを採用するが、ABSは非装備。前後連動のCBSとなる。モノコックフレームや前後12インチホイールなどは全車共通だ。
全長(mm) 1,890
全幅(mm) 735
全高(mm) 1,115
シート高(mm) 770
軸距(mm) 1,340
車重(kg) ――
エンジン 空冷4スト単気筒
排気量(cc) 124.7
最高出力 10.1ps/8500rpm
最大トルク 0.93kg-m/7000rpm
燃料タンク容量(L) 6 ±0.2
タイヤ (前)110/70-12 (後)120/70-12

V50 Special

50ccながら、上級機種と同等の装備を誇るスタイリッシュなシティスクーター。燃料供給方式は200、125のEFIではなく、キャブレターを採用。リヤサスは片持ち式、リヤブレーキはφ110mmのドラム式となり、ABSやCBSは非装備だ。

全長(mm) 1,890
全幅(mm) 735
全高(mm) 1,115
シート高(mm) 770
軸距(mm) 1,340
車重(kg) ――
エンジン 空冷4スト単気筒
排気量(cc) 49.5
最高出力 3.5ps/7500rpm
最大トルク 0.34kg-m/6500rpm
燃料タンク容量(L) 6 ±0.2
タイヤ (前)110/70-12(後)120/70-12

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■筆者プロフィール

沼尾宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。