フィーチャーバイク -S1000RR-
勢力図を塗り替えた革新のSS
国産スーパースポーツ(SS)が全盛だった2009年、BMWが初めて投入したSSこそS1000RRである。まず話題となったのが車体構成。BMWと言えば、ボクサーツインにパラレバー、シャフトドライブといったツアラー向けの独自メカニズムで知られるが、S1000RRでは直列4気筒とアルミツインスパーフレーム、テレスコピックフォーク、チェーンドライブといった日本車的なパッケージを採用。勝利を目指すBMWの本気度がうかがえる。
加えてエンジンは当時最強の193ps(フルパワー仕様)をマーク。ボア×ストローク=80×49.7mmは、直4リッターSSで今だに最もショートストローク設定となる(2018年10月現在)。さらに、強大なパワーを一般ライダーが扱えるようにするため、いち早く電子制御デバイスを大量に投入した点も新しい。現在のSSでは必須の装備となったトラクションコントロールをライバルに先駆けて搭載。しかも4つのエンジンモードに連動して、介入度が変更される。
以降、SSの勢力図は一変し、同時期に登場したアプリリアRSV4やドゥカティ1198とともに外国車勢が隆盛していく。
S1000RRはデビュー以来、全面刷新こそないものの、着実に進化を重ね、2015年型で最高出力は199psに到達。電子制御サスペンションまでも獲得している。
走行インプレは、歴代を通してストック状態での速さに定評がある。エンジンモードも手伝って中低速域の扱いやすさに秀でており、サーキットはもちろん峠道での戦闘力も高い。車体は基本的に安定志向だが、超高速域でもライダーの意志に従順に反応してくれる。
ツーリング適性がライバルより高いのも特筆すべき点だ。圧倒的な直進安定性や良好なシートの居住性に加え、グリップヒーターとクルーズコントロール(オプション)によってロングランもこなす。さすがBMWの面目躍如である。そして質感も抜群。所有欲を満たし、性能も申し分のないS1000RRは、貴方に高い満足感を与えてくれるだろう。
型式、年式ごとの特長
2009年型~

全長(mm) | 2,056 |
全幅(mm) | 826 |
全高(mm) | 1,138 |
シート高(mm) | 820 |
軸距(mm) | 1,432 |
車重(kg) | 204(装備) |
エンジン | 水冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 999 |
最高出力 | 156ps/10,000rpm |
最大トルク | 11.2kg-m/10,000rpm |
タイヤ | (前)120/70ZR17 (後)190/55ZR17 |
※2009年型 日本仕様
2015年型~

2017年型では新型マフラーを採用し、排ガス規制のユーロ4に対応。触媒の大型化に合わせアンダーカウルを大型化している。2018年型は従来型を引き継ぐ。
全長(mm) | 2,050 |
全幅(mm) | 826 |
全高(mm) | 1,140 |
シート高(mm) | 815 |
軸距(mm) | 1,438 |
車重(kg) | 204(装備) |
エンジン | 水冷4スト並列4気筒 |
排気量(cc) | 998 |
最高出力 | 199ps/13,500rpm |
最大トルク | 11.5kg-m/10,500rpm |
タイヤ | (前)120/70ZR17 (後)190/55ZR17 |
※2015年型
■S1000RRの在庫情報はこちら■
■乗り換えを検討中の方はこちら■
◆公式SNSにて更新情報をお届け!
■筆者プロフィール

沼尾宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。