今月のフィーチャーバイク

エレガント極まる、フランス製スクーター

4輪で広く知られるフランスのプジョーだが、元々はモーターサイクルのメーカー。現存する2輪ブランドとしては世界最古となり、1898年に第1号の2輪車を発表している。1907年にはプジョー製2気筒を搭載したノートンのマシンがマン島TTで勝利。1914年には世界最高速記録を樹立し、1930年代には数々のレースで勝利を収めるなど勇名を馳せた。
そして1955年には同社初のスクーター「S55」を市販化。4輪のプジョー203を彷彿とさせるパネルラインと丸眼ヘッドライト、大柄なボディが特徴となる。これを現代に再現したネオクラシックモデルがジャンゴ125シリーズだ。様々なバリエーションが用意されるが、ジャンゴ125Sは艶消しの黒い車体色にゼッケンプレートを模したカラーリングが際立つ、スポーティーなバージョンとなる。
ジャンゴ最大の特徴は、絵になる外観だろう。流れるようなボディラインと、フロントからテールまで続くモールが洒落ており、ボディ前面にはプジョーのライオンロゴが誇らしく収まる。このロゴはライトアップされ、夜間に浮かび上がって見えるのが格好いい。また、細部の質感も高く、高級感は見事だ。
さらに立派な車格が魅力。同クラスの国産スクーターと比べても迫力は十分だ。実際、車重はややヘビーなものの、ホイールベースは1350mmと長く、直進安定性が優秀。一方、横幅はスリムなので、市街地走行は楽々だ。

エンジンはSOHC2バルブの124.6cc空冷4スト単気筒を搭載。スロットルの開け始めはマイルドながら、回していけば空冷ではかなりパワフルな最高出力10psを発生してくれる。小径の前後12インチホイールを採用しつつ、安心感のあるハンドリングもユニーク。ロングホイールベースとよく動くサスによって、路面のギャップが穏やかに収束し、優雅な走りが味わえる。シートには厚みがあり、乗り心地も実に快適。4輪では「猫足」と例えられるプジョーだが、スクーターでも似た方向性のしなやかな走りが楽しめるのだ。
まさにヨーロピアンブランドならではのデザインと走りを持つジャンゴ。街乗りからツーリングまで、個性的なスクーターで生活を彩りたい人にぜひお勧めしたい1台だ。

型式、年式ごとの特長

ジャンゴ125シリーズ

2014年に登場したネオレトロスクーターのジャンゴシリーズ。丸1眼ヘッドライトと車体後半部のボディが、プジョー初のスクーターであるS55を彷彿とさせる。なお、125に加え、共通ボディを用いた50ccや150cc版もラインナップしている。
スタイルはクラシカルながら、LEDテールランプやABS、液晶メーターなど現代的な装備を満載する。右側のグローブボックスには12V電源ソケットを備え、スマホを立てられるホルダーまで設置。スクーターでは珍しい前後分割式シートの下には、ヘルメット+αが入る収納スペースを完備している。
車名は、往年のギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト」から命名。火傷によるハンディキャップを乗り越えた不屈の精神と、60年以上の歳月を経て復活したスクーターの姿を重ね合わせている。
全長(mm) 1,925
全幅(mm) 710
全高(mm) 1,190
シート高(mm) 770
軸距(mm) 1,350
車重(kg) 129
エンジン 空冷4スト単気筒
排気量(cc) 124.6
最高出力 10.2ps/8500rpm
最大トルク 0.9kg-m/7000rpm
燃料タンク容量(L) 8.5
タイヤ (前)120/70-12 (後)120/70-12

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■筆者プロフィール

沼尾宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。