フィーチャーバイク -ボンネビル-
公開日:2019.09.25 / 最終更新日:2020.04.14
60年にわたって伝説を継承する1台
1885年、英国で産声をあげたトライアンフは、現存するバイクメーカーで世界最古のブランド。中でもボンネビルは、同社を象徴する1台だ。
車名は、最高速チャレンジで知られるボンネビル・ソルトフラッツにちなんで命名された。1956年、トライアンフはこの競技で当時最速の312km/hを記録。その名を冠した市販モデルが1959年に発売された初代ボンネビルの「T120ボンネビル」となる。650cc並列2気筒を積むフラッグシップで、当時では圧倒的な46psを誇った。T120は空前のベストセラーとなり、以降トライアンフの顔となるモデルにこのネーミングが継承されることになる。
しかし1970年代の破産などを経た後、1988年にボンネビルシリーズは生産終了。1990年に新会社として新生トライアンフが誕生した。そして2001年モデルとして、新時代の「ボンネビル」がついに復活を果たす。
790cc空冷バーチカルツインに、丸みを帯びた燃料タンク、フラットなダブルシートを採用したクラシカルな姿は、まさにかつてのT120譲り。一躍ヒットモデルとなり、名実ともにトライアンフは完全復活を実現した。
排気量アップや派生機種の追加を繰り返し、2008年型ではキャブレター→インジェクションに変更。キャブ風のカバーを装着することで、懐古的な見た目を損なわない工夫が施されている。さらに2016年型でエンジンを一新し、水冷化。これには多くのファンを驚かせたが、往年のスタイルと個性は綿々と受け継がれている。
走りに関しては、キャブを採用する2001~2007年型は、概して適度な鼓動感が心地よく、360度クランクによる素直な出力特性が特徴。FIの2008~2015年型は一段とトルクフルになり、ほぼ全域で力強い加速が楽しめる。01年型から車体は意外にも剛性感があり、高速走行での安定感は抜群だ。
2016年に登場した1200cc水冷パラツインを搭載するT120は、270度クランクによってパルス感がより明確に。電子制御スロットルにより低回転域から怒濤のトルクを発生しつつ、シャープに吹け上がる。先代よりパワフルかつスポーティな味付けだ。また水冷900cc仕様のT100は、さらに高回転型でキビキビした走りとなる。
――このように時代に応じて変化しながらも、その伝統的なデザインと、歯切れのいい鼓動感は不変。英国車の真髄を味わいたいライダーに最適な1台だ。
型式、年式ごとの特長
ボンネビル(2001~2015年型)

2002年型で上級版の派生機種「T100」を追加し、2005年からT100のみ865cc化。STDのボンネビルは2007年型で865ccにアップした。さらに2008年型でキャブ→インジェクションを採用。2009年から、STDは前後17インチのキャストホイールとなり、足着き性が向上したほか、シート形状なども変更されている。
さらに、270度クランクを採用したクルーザーのスピードマスター、カフェレーサー風のスラクストンといった派生モデルも存在する。
※写真はボンネビルT100
全長(mm) | 2,250 |
全幅(mm) | 860 |
全高(mm) | 1,105 |
シート高(mm) | 775 |
軸距(mm) | 1,493 |
車重(kg) | 205 |
エンジン | 空冷4スト並列2気筒 |
排気量(cc) | 790 |
最高出力 | 62ps/7400rpm |
最大トルク | 6.1kg-m/3500rpm |
燃料タンク容量(L) | 16 |
タイヤ | (前)100/90-19 (後)130/80-17 |
※2001年型ボンネビル
ボンネビルT120(2016年型~)

環境規制に対応した水冷化は当初、賛否両論だったが、好調なセールスを記録。カスタムテイスト満点のボンネビルボバー、エントリー層向けのストリートツインなどラインナップも拡大中だ。
全長(mm) | ―― |
全幅(mm) | 785 |
全高(mm) | 1,100 |
シート高(mm) | 790 |
軸距(mm) | 1,450 |
車重(kg) | 244 |
エンジン | 水冷4スト並列2気筒 |
排気量(cc) | 1200 |
最高出力 | 80ps/6550rpm |
最大トルク | 10.7kg-m/3100rpm |
燃料タンク容量(L) | 14.5 |
タイヤ | (前)100/90-18 (後)150/70-17 |
※2016年型ボンネビルT120
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■筆者プロフィール

沼尾宏明
1995年から2輪雑誌編集部に勤務し、後にフリーランスとして独立。
モットーは締め切り前納品で、旧車から最新の法改正、用品に至るまでジャンルを問わず幅広いバイク関連の知識を持つ。
1年半に及ぶユーラシア大陸横断という異色の経験もアリ。
1971年生まれ。