バイクの未来に切り込んでいくコンテンツを発信する『バイク未来総研』。
今回バイク未来総研では、東京ビッグサイトで開催された『第50回東京モーターサイクルショー』にて次世代の電動バイク展示ブースを中心に、宮城光所長が突撃インタビューを行いました!
また、ライダーが快適にバイクライフを過ごせる最新ツールや、交通事故からライダーを守る最新アイテムを展示する「バイクの未来」にまつわるブースへのインタビューなど、内容盛り沢山となっているインタビューの様子をお届けします。

バイク未来総研とは

バイク業界のよりよい未来を考え、新しい価値を調査し、分析した内容を広く社会に発信することを目的に発足。国内外のレースで輝かしい成績を挙げ、現在も多方面で活躍する宮城光氏を所長に向かえ、バイクライフの楽しさやバイク王が持つバイクに関する独自データ分析などの情報発信に加え、ライダーやバイク業界がこれから描く「未来」に切り込んだコンテンツを順次発信します。

aidea(アイディア)ブースはすべての展示車が電動バイク!

宮城:最初にやってまいりましたのは、こちらのaideaブースです。成田さんにお話を伺います。個性的な車両が並んでいますがどういうバイクなのでしょうか。

成田:今回展示しているバイクは、すべて電動バイクです。2019年に誕生したブランドで、aideaは電動バイク専用のメーカーです。
宮城:パッと見た印象がすごくスタイリッシュですが、これは海外製品ですか。
成田:製品はすべて日本で製作しているのですが、デザインはイタリア人の方がイタリアで行っています。日本人が作り、イタリア人がデザインするという、抜群のコンビネーションで作られているのがaideaです。
宮城:1台1台の車両はレジャーバイクというより、ワーキングバイクのように見受けられますがどういうところが人気なのでしょうか。

成田:弊社のバイクは今のところすべて業務用となっています。電動バイクの特徴として、まだまだ走行距離が短いので現段階では業務用としての販売がメインとなりますが、将来的にはレジャー用のバイクの開発も、もちろん視野に入れています。
宮城:バッテリーの容量によって車重や走行距離に影響がありますが、業務用となると搭載する荷物の重さやスペースも必要になってくると思います。
そのあたりのバイクの作り込みは大変だったのではないですか。
成田:そうですね。オートバイはバランスをとって走る乗り物ですので、荷物を載せると途端にバランスが変わってしまいます。
ですので、バランスのとりやすい三輪からスタートして我々は次のステップとして二輪の開発に着手しているところです。
原付二種は業務用だけでなく、通勤に使うなどの用途になります。
宮城:東京の赤坂にショールームがありますが、そこに行けば車両を見て試乗などもできるのでしょうか。
成田:そうですね。ショールームにはラインナップすべて展示してありまして、試乗もできます。交通の便が良い場所にありますのでぜひお気軽にお立ち寄りいただければと思います。
宮城:この電動バイクに乗る場合の免許はどのようになるのでしょう。
成田:現在は業務用バイクメインという事で、乗りやすい原付の免許で乗れるバイクを展示しておりますが、中には原付二種のバイクもあります。ですので、通勤に使うなどもできるかと思います。
宮城:夢は膨らみますね。
成田:そうですね。東京都も国も電動バイクを普及させたいという想いがあり、購入される方にも補助金なども出ますので、この機会に電動バイクをご検討いただくのもよいかと思います。
宮城:そうですね。今後のラインナップにも期待しております。本日はありがとうございました。

RSタイチブースで松原社長にライダーの事故削減にかける想いを訊く!

宮城:松原社長にお伺いします。よろしくお願いします。RSタイチのブースは相変わらずきれいですね。それにしても、コレは何ですか。
松原:Yogibo(ヨギボー)です(笑)今年から我々RSタイチが運営しているモトクロスチーム、「マウンテンライダーズ」のメインスポンサーに就いていただけました。Yogiboは座ったら最後、快適すぎて動けないビーズソファです。

チームは1963年にスタートして古いながらもこうした新しい息吹を入れて、世界を目指すというチャレンジ精神がYogiboさんのコンセプトと合致して、もっとモトクロスを盛り上げましょうという事で、今回モーターサイクルショーでのお披露目となりました。
宮城:一瞬、何かと思いました。展示にはそうした背景があるのですね。RSタイチさんと言えば安全面に力を入れていますが。
松原:今は儲けとかでなく、とにかくこのバイクという素晴らしい乗り物に安全性の高いものを出し続けるというのが当社の使命だと思っておりますので力を入れています。
宮城:ようやく胸部のチェストプロテクターも世間に認知していただけるようになってきましたね。

松原:認知はされてきておりますが、まだまだ普及まではしていないというのが現状ですね。良いものをもっともっと企業努力で価格を下げて安全性を高めた商品を出していこうと思います。ヘルメットと同じようにチェストプロテクターをつけることが当たり前になれば、ライダーの死亡事故は激減します。その日が来るまで頑張ります。
宮城:ほかに何か展示物で目玉はございますか。

松原:こちらの冷却システムです(写真左)。夏のツーリングは汗だくになるものですよね。GATBYさんと共同開発したウェアで新感覚の冷却システム『LIQUIDWIND』という物なのですが、身体が気持ちいいくらい冷えて、汗のにおいも気にならないウェアです。一度試していただきたいです。

新感覚の冷却システム『LIQUIDWIND』
https://www.rs-taichi.com/feature/liquidwind/

宮城:気持ちはホットで身体はクールに行けますね!僕はこちら(写真右)のeHEATの方は長く使わせてもらっていて、RSタイチさんのおかげで冬場も温かいバイクライフを楽しんでいます。ぜひ夏のウェアも試してみたいですね。
松原:はい、ぜひどうぞ!

モータリストブースは「かっこよくて面白いもの」を集めたアイテムが勢ぞろい!

宮城:モータリストの野口社長にお話を伺います。
野口:よろしくお願いします。

宮城:ここに来ると毎年見たことがないバイクが並んでいて楽しいですよ。
野口:色々なものを日本の皆さんに紹介するのは楽しくてワクワクするんですよね。せっかくのショーですから、皆さんにも初めての物など出せるよう頑張っています。
宮城:お客様もそのあたりを楽しんでいると思います。ここにあるバイクの中では電動モデルのバイクが目に付いたのですが。
野口:そうですね。まだまだ電動バイクはこれからのバイクで、良くなっていくとは思いますが、いち早く未来のバイクを作ってお客様にお届けしたいという事で持ってきたバイクです。

宮城:これは見たことがないフォルムですね。このバイクの名前から教えてください。
野口:これは『Gowow』と言います。オートバイのメーカーではなくてモーターのメーカーが作ったバイクで、BtoC向けに新しい何かにチャレンジしたいという事で作ったバイクがこちらの電動バイクですね。
宮城:電動になったことによって、今までのガソリンタンクがあってエンジンタンクがあって、というデザインじゃなくなっていますよね。
野口:そうですね。オートバイメーカーが作るとどうしても固定概念が出てしまうものですが、新しいメーカーが作ると、そうした概念がないので全く違うユニークなデザインになったと思いますね。
宮城:ガソリンで乗るバイクに置き換えると、どのくらいのクラスになるのでしょうか。
野口:出力で10キロワットですから、大体125ccくらいのバイクになるのかと思います。
宮城:電動バイクに興味がある方は、注目しておいた方がいいですね。
野口:バッテリーの交換も簡単で、角もなく面取られていてはじめてオートバイに乗る方でもケガをすることのないようにと配慮されています。
宮城:最後に、モータリストが今後目指すところというのを教えてください。
野口:弊社は色々な種類のオートバイを輸入しているメーカーという印象だと思うのですが、オートバイが大好きな人にとって何が一番面白くなるのかという事を考えて商品を用意しているメーカーです。電動バイクの「Gowow」もそうですが、原点から変わらず「かっこよくて面白いもの」を追求しています。ので、ショールームにぜひ遊びに来ていただければと思います。

▼モータリストショールームに関して
https://motorists.jp/news/14578

宮城光所長、ステージで二輪車安全啓発動画発表!


東京モーターサイクルショー主催者ステージに、ジャパンライダーズアンバサダー梅本まどかさんと宮城所長が登壇。
日本自動車工業会が制作した二輪車の事故防止啓発の動画をお披露目するトークショーが開催されました。
出合い頭の事故・右直事故が何故起こるのかというメカニズムや、4輪ドライバーの視点と2輪ライダー視点、2つの視点での説明など、両方のレース経験のある宮城所長ならではの動画内容で、目から鱗の内容となっています。
トークショーで公開された動画はこちらからご覧いただけます。

▼梅本まどかと宮城光のセーフティ ライディング!
https://www.youtube.com/watch?v=hlDc3YeVd7I

サインハウスの新型ビーコム『SB6XR』がすごい!

宮城:B+COM(ビーコム)でおなじみのサインハウスのブースにお邪魔しています。新井社長にお話をお伺いします。今回の目玉は何でしょうか。

新井:今回、B+COM (ビーコム)のSB6が進化しまして、SB6XRに進化しました!
宮城:私もSB6は使っていますが何が進化したのでしょう。
新井:今回、“R”がついたのは、洗練・磨きをかけるの「RIFINE」のRです。具体的に洗練された部分ですが、まず薄くなりました。ヘルメットから出ている部分をなるべく薄くヘルメット側に来るようにしました。
宮城:確かに薄くなっていますね。


カワサキとコラボした『カワサキエディション』

新井:それと電池ですね。昨今、キャンプツーリングではモバイルバッテリーを持って行きますが、こちらの6XRは一泊二日程度でしたら充電は要りません。充電なしで22時間インカム通話できますし、音楽再生は24時間できます。
宮城:かなり進化しましたね。びっくりしました。
新井:あとはボタンが押しやすくなったり、わかりやすくなっていたり、細かい所も進化していますよ。
宮城:楽しみです。他に何かオススメはありますか。
新井:あとはこの『B+COM TALK』です。
宮城:私もB+COMを使いだしてからバイクライフが劇的に変わりました。B+COMがないバイクライフはもはや考えられませんね。これはいつ頃発売ですか。
新井:ありがとうございます。こちらの『『B+COM TALK』は2023年夏に発売できるよう鋭意制作中です。これからもますます使いやすい、買いやすい商品を出せるようにしていきます!

▼サインハウス B+COM製品ページ
https://sygnhouse.jp/products/bcom/

ロイヤルエンフィールドブースのプレスカンファレンスに参加!


続いて、ロイヤルエンフィールドのブースではプレスカンファレンスが行われていましたので宮城所長が突撃参加!
この東京モーターサイクルショー2023で日本初公開となる「スーパーメテオ650」が目玉として展示。車体は完全新設計で、見事なクルーザーに宮城所長も大興奮!
日本での発売時期は2023年6月以降と発表されています。

世界最高峰の電動バイク「エネルジカ」

宮城:スタイリッシュな電動バイクが並ぶ「エネルジカ」のブースにお邪魔しています。エネルジカといえば、世界最高峰の電動バイクレース“MotoE”に4年間実績を積んできました。そちらの日本総代理店、株式会社エスター代表の逢坂社長にお話を伺います。よろしくお願いします。
逢坂:よろしくお願いします。
宮城:スタイリッシュなバイクが並んでいますが、僕たちライダーになじみのあるバイクのフォルムに近い電動バイクが並んでいますね。
逢坂:そうですね。イタリアのメーカーも従来のガソリンで走るバイクを作っていたところから始まっていますので、次世代のバイクでもそれを継承しています。原動力は電気になりますが、フォルムはバイクそのものです。
宮城:このエネルジカの強みはどういったところになるのでしょうか。
逢坂:やはり走行距離と急速充電です。走行距離は1回の充電で420㎞走ります。
宮城:1回の充電で420㎞というと大型燃料タンクのアドヴェンチャーモデル並みに走りますよ!
逢坂:そうですね。電動バイクにも、ガソリンで言う所の燃費にあたる「電費」というのがありまして、走り方にもよりますが、実走でもこの距離に近い数字になっています。一回の充電で世界最高距離を走るのがこのエネルジカです。
あとはなんといっても急速充電です。エネルジカの大きな特長と言えます。一般の電気自動車の充電スポットで充電することができるのですが、バイクに残ってる電力によりますが、出先で20~30分程度で充電して、またすぐ走ることが可能です。
宮城:それはすごいですね。車体についての特長はいかがですか。
逢坂:クラッチがないところですね。クラッチがない分、シームレスにアクセルだけで背中をグッと押される感覚は癖になります。

宮城:そうですね。僕も体感していますが、街中でアクセル開けて「グンッ」と来るあの感覚で走ると、普通のバイクに戻れなくなるくらいの魅力がありますよね。
逢坂:はい。タイヤで地面を蹴る感覚、背中を押される感覚は本当に気持ちいいです。
宮城:このエネルジカはどういう方におススメでしょうか。
逢坂:電気で走るという事でお若い方にも受け入れられやすいですが、色々なバイクを乗って経験値が高い年代の方々にぜひ乗っていただきたいですね。経験値が高い方ほど違いがよくわかり、「ガソリンで走るバイクに全然負けてない、楽しいね」と言っていただけることが多いです。
宮城:ありがとうございました。これからも期待しております。

オージーケーカブトブースでは最新モデル『Geosys(ジオシス)』を展示!

宮城:デザインを担当している口野さんにお話を伺いたいと思います。今回のこの新作、名称から教えてください。
口野:こちらは、Geosys(ジオシス)という商品になります。
宮城:アドベンチャーモデルのヘルメットになりますが、どのようなところに注力して作ったのでしょうか。
口野:可動式のバイザーを採用しているので、5段階に角度調整できますが、空気抵抗を抑えたい高速で移動する時などは可動部を下げます。
宮城:なるほど。動きますね。あとはこのベンチ周りが凝っていますね。
口野:あとは操作のしやすいベンチレーサーですね。上下にあるのは下は口元の息苦しさを軽減し、上はシールドの内側に向けて空気が流れるので曇りを取るアンチフォグ用で、独立して操作が可能です。
宮城:その入った空気を後ろから抜くのですね。こうした機能もそうですが、樹脂成型ベースの美しさとシールドの強度が非常に良いですね。
口野:ありがとうございます。使っていて気持ちよい操作性で、シールドを上げた状態でおゴーグルを装着できたりもします。
宮城:すごいですね。どのような方に購入いただきたいですか。
口野:オフロード、オンロードツーリングからワインディング、林道、高速道路、どこでも快適に走れますのでどのような用途でも幅広くお使いいただけます。

宮城:ヘルメットもどんどん進化していますね。快適なバイクライフが過ごせそうです。本日はありがとうございました。

宮城光がモーターサイクルショーを振り返る

3年ぶりに開催された昨年の東京モーターサイクルショーでも電動バイクやバッテリーが並んでいて驚かされましたが、今年はさらに電動バイクを展示しているブースが増えていました。

業務用の電動バイクもスタイリッシュなモデルが増えたという印象がありますし、スポーツバイクのフォルムでスタイリッシュなバイクも増えたように思います。電動バイクで懸念されていた充電の問題もエネルジカの急速充電のように、徐々にガソリンエンジンのバイクとの差を埋める努力を企業が進めていると感じます。

周辺ツール面では、安全かつ快適なバイクライフをおくるためのウェア、ヘルメット、チェストプロテクター、通話システムはやはり進化していました。バイクや周辺ツールが進化し、ますます安全に、快適にライダーがバイクに乗れるようになり、環境問題も電動バイクによってクリアされるようになれば、バイクの未来は明るいのではないでしょうか。

筆者プロフィール

宮城光

1962年生まれ。2輪・4輪において輝かしい実績を持つレーサーとして名を馳せ、現在ではモータージャーナリストとしてMotoGPの解説など多方面で活躍中。2022年、バイク未来総研所長就任。